鋳物材料・アイメック
【ベトナム鋳物の歩き方】第2回 ベトナムでどんな鋳物が作られているの?
当社のベトナム駐在員が執筆した「ベトナム鋳物の歩き方」をご紹介いたします。
今回は、第2回目のレポートをお届けします。
第1回はこちら:ベトナムで鋳物って作っているの?
ベトナムで作られている鋳物は以下の通りです。
<材質>
FC(150~300)、FCD(400~600)、SC各種、SUS各種、Hi-Mn、Cr鋳鉄など日本で必要とされる材質はほとんど鋳造可能です。
特に日本ではあまり作られなくなったCr鋳鉄はベトナムではポピュラーな材質です。
<溶解>
中周波電気炉、高周波電気炉を使用しています。
ローカルのほとんどは中国製電気炉を使用しています。1,000kg炉1基300万円ほどで購入できるそうですが、3年ほどで壊れてしまうと聞いています。
最近では台湾製電気炉(インダクトサーモ)を導入する鋳造工場も増えてきています。
ローカル鋳造工場社長に聞くと、日本製電気炉を導入したいが、日本製電気炉は高価で導入出来ないとの事でした。
中には、将来の夢は日本製電気炉の中古を買う事だというローカル鋳造工場社長もいました。
日系鋳造工場は、日本製電気炉(北芝電機、富士電機)を使用しています。
以前はよくあった停電、瞬間停電はほとんどなく、安定供給されています。
<造型法>
生型、自硬性、ロストフォーム、ロストワックスなどです。
生型はF1造型機が圧倒的に多いですが、最近は高圧造型機(DISA)、静圧造型機(FCMX)などを導入する企業が増えてきています。
自硬性はフラン造型法が主ですが、最近はアルカリフェノール造型法も日系鋳造工場を中心に増えてきています。
特に鋳鋼、アルミ、銅合金を鋳造している工場は、アルカリフェノール造型法になっています。
ロストフォームは日本ではFC、FCDがほとんどですが、ベトナムでは鋳鋼でも多く利用されています。
ただ、発泡スチロールの品質が悪く、塗型も自社で作っている鋳造工場が多いので、不良が多いのが実情です。
現在では発泡スチロールもPPS樹脂を使用し、塗型も通気度が高く強度のある塗型を使う鋳造工場も出てきており、「日本品質」に近づいてきています。
ロストワックスについては、ホーチミン市にて台湾企業を中心として広く行われています。最近は北部でも高品質のLOST WAX鋳物を生産出来る工場が出てきましたが、まだまだ少ないのが現状です。
また、ワックスではなく3Dプリンターを使用し小ロット品を鋳造する事を検討している企業もあります。
次回は、ベトナムの鋳物の品質についてご紹介いたします。
文章:金森産業ベトナム有限会社 高島 毅